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ショート動画とロング動画

令和の現代はショート動画に代表されるファストコンテンツがたいへん人気を博しており、手軽かつ大量に消費できる bite-sized コンテンツの市場が急拡大しています。


そのような世の中の動向について、「大量に追いかけても結局何も手元にのこらない」という否定的な意見もあり、じっさい僕もそうだろうなとは思います。ただ一方で、冒頭で述べたように人気であることは事実であり、ショート動画はコンテンツとして成立しています。


そこで今回は、ショート動画をどのように位置づけるべきか、従来型の尺の長いコンテンツとどのように対比させればよいかを、僕の意見として説明します。


ショート動画とロング動画の特徴

ショート動画は、サザエさんのようなオムニバス形式のコンテンツをもっと短くしたようなものであり、シリーズ性がいっさいない一話完結のコンテンツです。また、サザエさんと同じで、視聴者に高度な前提知識を要求しないため、基本的に誰でも楽しめます。


これと対局をなすのがロング動画です。数十分、数時間単位の尺の動画であり、基本的にそれ以上分解できません。また、最初から最後まで視聴することでそのコンテンツのメッセージがクリアになる、途中から見る、または途中で見るのを止めると、メッセージがよくわらかなくなる、という特徴もあります。もちろん、ロング動画は昔から今まで存在しています。


ショートからロングへの送客は昔からある

映画作品にはトレイラー(予告編)という、数分くらいであらすじや魅力をまとめた宣伝用の動画があり、その作品の公開前に別にトレイラーが用意されることがほとんどです。映画館に行けば、見たい作品の前に何本かトレイラーが挟まれますが、これは、ショート動画に似ています。


トレイラーはある種の「ルアー」であり、映画館に足を運ばせ、本編を楽しませる、という導線として機能します。トレイラーを見た人は、「この映画面白そうだなあ」という気持ちになり、次回に何の映画を見ようかなと思い立ったタイミングで、「あ、あれにしよう」という発想、決断にいたります。


似たような例でいえば IKEA や Costco もそうで、格安のホットドックやソフトクリームをある種の「エサ」にして、自分たちの店に送客するという手法を実践しています。エサで集客して自分たちの導線に誘導し、自分たちが提供する顧客体験を味わわせるという点は、トレイラーから本編への誘導と似ています。


ショート動画から送客の例は他にもたくさんあり、焼き鳥どんのショート動画、○○がヤバすぎた系の観光地コンテンツなど、いろいろな実例があります。


ショートだけでは単なるゴミ

このように、ショートコンテンツをうまく組み合わせて本尊に誘導するというやり方は昔からあり、とても健全なのですが、ショートコンテンツの寄せ集めだけでは何も機能しないということも、同時に理解する必要があります。


たとえば、1 分のショート動画を 120 本あつめて、それを 2 時間の長編動画にしても、誰も楽しめません。長い動画に視聴者が期待するのは、首尾一貫していること、整合性であり、ショート 120 本の寄せ集めはサザエさんを 120 話一気に見せられるようなものであり、視聴者は胃もたれするはずです。


さいごに

ショート動画をルアーにしてロング動画に誘導することは可能である、また、ショート動画だけで何かしようとするのは厳しいとまとめることができます。ショート動画は最初のつかみとして優れているのですが、バックエンドにあるロングが機能しない、あるいはない場合、一瞬盛り上がって忘れられる、ということになります。


ショートの活路はロングありきであり、ショートはロングのために存在するといっても過言ではありません。

 
 
 

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